蛇崩
2014/09/16
8月は局地的な大雨による災害が全国各地で発生していまいました。多くの犠牲者がでてしまった広島でしたが、その災害を伝える情報番組の内容で気になることをありました。被害が大きかった八木という地区のかつての地名が「蛇落地悪谷」であって、過去にたびたび大雨での災害があってそれで、この地が蛇落地と呼ばれていたのではと。蛇は水とか流れ、さらに恐ろしいものとかの象徴にされ、またかつての地名がその土地の特徴を物語っているということは良く聞きます。なぜこのことが気になったかというと私の住む場所が蛇崩に近いからです。そのものずばり、蛇に崩です。
目黒区のホームページの地名紹介に「蛇崩」という地名は昭和7年には姿を消し、現在の祐天寺一丁目の一部と上目黒四丁目の一部が該当するとあります。地名としては残っていない蛇崩ですが、現在も使われている言葉で、一番良く耳にするのが蛇崩の交差点です。山手通り、東山の交差点を西に曲がってだらだらとした坂を上って、下ってガソリンスタンドが見えてきたら蛇崩です。十文字に交差する普通の交差点ではないので、車も人も信信号待ちが長くなってしまう場所です。
地名紹介の蛇崩の由来では、昔大水の際、崩れた崖から大蛇がでたことからこの地名が生まれたとする江戸時代の「新編武蔵風土記」の内容と土堤崩れを意味する砂崩(さくずれ)が「じゃくずれ」に転化し、蛇行屈曲した川の状態から「蛇崩」の文字を当てたといいうふたつの説明があります。いずれにせよ川の氾濫と関係があります。
交差点ともうひとつ、言葉として日常で出てくるのが蛇崩川です。同じく目黒区ホームページの地名紹介情報から。蛇崩川は弦巻から上馬、三軒茶屋、下馬を経て中目黒にて目黒川に注ぎ込む5.2キロメートルの目黒川の支流で現在はその大部分が暗渠化されている。そしてその暗渠の上が蛇崩川緑道です。
蛇崩れの交差点から緑道はすぐ近くです。交差点からお風呂屋さん手前の道を進み、道路と緑道の交差する場所が蛇崩下橋。ここを左に向かえば下馬方面に緑道は続き、右に曲がれば中目黒駅方向に伸びていきます。
以前は氾濫で人々を困らせたこともあったであろう蛇崩川は今ではカラフルなタイル貼りの歩道を木々が包み込み、人々を和ませる場となっています。中目黒方向にはこんな感じで緑道が続きます。この時期は木々の緑色の印象が強いのですが、色々な花が彩りを添えてくれる場所でもあります。私が以前にお話しした「はなみずき」「さるすべり」「さくら」もこの緑道にある木々です。
ちょっと前までは予想もしなかった大雨による突然の災害が起こりかねない、ここ数年の気象状況。広島の被災地のように蛇崩の由来がニュースで取り上げられるような事態になることなく、今の憩いの場所としての蛇崩であり続けてもらいたいですね。